足場での事故を未然に防ぐには?実際の事例と改善策をご紹介
足場のTIPS
足場での事故を未然に防ぐには?実際の事例と改善策をご紹介いたします。
目次
事例1.外壁工事現場で20代の男性が足場から転落し、死亡
手すり先行工法(手すり据置式)を用いた外部足場の解体作業中、足場17段目の床上で空の吊袋を引き上げていた時、吊袋が下方にて引っ掛かり、足場外側の手すり枠に体重をかけて引き上げようとしました。
しかし、手すり枠の固定金具6ヶ所の一部が取外されていたため、手すり枠が外れ約31mの高さから墜落しました。
原因
手すり先行工法を前提にした作業手順に反して、足場材を降ろすため手すり枠の金具を一部外していたことが原因と考えられます。
対策
足場の解体作業にあたり、作業手順を守るとともに、墜落の恐れのある個所では安全帯の使用を徹底し、作業主任者がその使用状況を確認することが必要となります。
事例2.外壁工事現場で10代の女性が足場から転落し、死亡
大学病院の外壁工事現場で資材の搬入作業中、資材を搬入するため、枠組足場の建枠と建枠の間に斜めに入れて転落を防止する「筋交(すじかい)」という資材を外しており、職長が搬入完了後の筋交の取り付けを怠っていました。
これにより、女性鳶職は筋交のない部分から15.3メートル(5階付近)の高さから転落したとのことです。
また、安全帯などを使用していなかったとのことです。
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられます。
・作業の必要上臨時的に足場の転落防止設備を取り外しているにも関わらず、安全帯などを使用していなかったこと
・設備を取り外す必要がなくなった後も「直ちに当該設備を原状に」復旧されていなかったこと
急いでいたとしても、安全を第一に考え作業をすることが求められます。
対策
足場での高所作業にあたり、作業手順を守るとともに墜落の恐れのある個所では安全帯の使用を徹底し、作業主任者がその使用状況を確認することが必要となります。
事例3.屋根葺き工事中、足場板とともに墜落し、死亡
木造倉庫の屋根の瓦葺き工事において、丸太足場の点検中、軒先から丸太足場上に架け渡されていた足場板に飛び乗ったところ、番線等で他の足場板と緊結されていなかったため、足場板が天びん状態となってバランスを崩し、その足場板とともに約5.5m下の地上に墜落したとのことです。
このとき作業員は保護帽を着用しておらず、また、安全帯も着用していませんでした。さらに、丸太足場には、手すりがなく、屋根軒先にも墜落防止措置が講じられていなかったとのことです。
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられます。
・固定されていない足場板に飛び乗ったこと
・丸太足場に、手すりがなかったこと
・屋根上での作業に関わらず屋根の軒先に転落・墜落防止措置が講じられていなかったこと
・保護帽を着用していなかったこと
・安全帯を着用していなかったこと
管理レベルでも個人レベルでも安全に対する意識が低かったことが考えられます。
対策
足場板は番線等で緊結するとともに、足場の構成部材、手すり、足場板の取付け部、緊結部等を点検し、異常を認めたときは直ちに補修すること。
丸太足場では、足場を使用する作業を行うに当たって、作業を開始する前に、床材の取付け、かけ渡しの状態、手すり等の有無、脱落の有無、足場板同志の重ね部の緊結状態等を点検し、異常を発見した場合には、適切に補修等を行うことが必要です。
また、丸太足場での作業を行う場合には、墜落を防止するための手すりを設けることや、屋根上で作業を行う場合には、軒先からの転落、墜落を防止するため、軒先上に丸太足場の建地を延長し、手すりを設けること、作業者には必ず保護帽と安全帯を着用させ、墜落のおそれのある屋根作業、軒先作業等では必ずこれらを使用させることも必ず準拠しなければなりません。
まとめ
今回ご紹介した足場での事故例では、安全を第一に考えた作業手順が守られず発生しています。
会社や現場の管理レベル、また作業員1人ひとりの安全に対する意識を高めるためにも、新規入場者研修、職長会でのミーティングや朝礼などで繰り返し指導することが求められます。
ASNOVA編集部からのコメント
足場の安全性については、労働安全衛生法にて定められており、元請企業さんもより慎重になっています。
▼労働安全衛生法についての記事はこちら
https://www.serv.asnova.co.jp/service-wp/column/488/
#安全帯 #番線 #保護帽