【荷役作業】労働安全衛生規則の改正ポイントをご紹介!
トラックでの荷役作業時における安全対策が強化。労働安全衛生規則の改正ポイントをご紹介いたします。
2023年10月1日に労働安全衛生規則が改正され、トラックの荷役作業における安全対策が強化されることになりました。
複数の改正ポイントがあり、違反した場合は罰則の適用が課せられる可能性がありますので、改正ポイントを正しく把握しておく必要があります。
本コラムでは、安全衛生規則の改正概要と詳細をご説明いたします。
改正内容の概要
改正のポイントは大きく3つあります。
1.昇降設備の設置及び保護帽着用が必要になる範囲の拡大(2023年10月1日から施行)
2.テールゲートリフター特別教育の義務化(2024年2月1日から施行)
3.運転者が運転位置を離れるときの原動機停止義務等の適用除外(2023年10月1日から施行)
これらを義務化する背景としては、労働災害の内訳の中で、決して少なくはない荷役災害率を低下させる意図が大きいと思われます。
令和元年の陸上貨物輸送事業(トラック輸送事業)における死傷災害の起因物は、全体のおよそ1割(11%)を「荷姿の物」が占めています。(下図参照)
引用:労働災害防止に向けての注意事項について(厚生労働省)
また、陸上貨物輸送事業(トラック輸送事業)における労働災害内訳の7割超(75%)が荷役災害であり、荷役作業の安全対策が強く求められています。
引用:労働災害防止に向けての注意事項について(厚生労働省)
つまり今回の改正は、これらの背景から「義務の範囲を拡大」することにより労災を減らすための改正であると言えます。
規程内容によって施行日が異なりますので、間違いのないようお気を付けください。
昇降設備の設置及び保護帽着用が必要になる範囲の拡大(2023年10月1日から施行)
テールゲートリフター特別教育の義務化(2024年2月1日から施行)
運転者が運転位置を離れるときの原動機停止義務等の適用除外(2023年10月1日から施行)
改正内容の詳細
それでは規程ごとに改正内容の詳細をご説明いたします。
1.昇降設備の設置及び保護帽着用が必要になる範囲の拡大
これまで最大積載量5トン以上の貨物自動車については、昇降設備の設置・荷役作業を行う労働者の保護帽着用が義務付けられていましたが、これらの義務の対象となる貨物自動車を、最大積載量2トン以上の貨物自動車に拡大されました。(一部例外あり)
「昇降設備」には、踏み台等の可搬式のもののほか、貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等が含まれます。なお、昇降用ステップは、できるだけ乗降グリップ等による三点支持等により安全に昇降できる形式のものとするようにしてください。
「保護帽」には、以下の条件も追加されます。
①最大積載量が 2 トン以上 5 トン未満の貨物自動車であって、荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるもの(平ボディ車、ウイング車等)。
②最大積載量が 2 トン以上 5 トン未満の貨物自動車であって、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使用せずに荷を積み卸す作業を行う等の場合は適用されません)。
なお、保護帽は型式検定に合格した「墜落時保護用」のものを使用する必要があります。
2.テールゲートリフター特別教育の義務化
荷役作業を伴うテールゲートリフター操作業務は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第59条第3項の安全または衛生のための特別の教育(特別教育)が必要となりました。
テールゲートリフターに関する知識、テールゲートリフターによる作業に関する知識及び関係法令の科目に係る学科教育(計4時間)及び、テールゲートリフターの操作の科目に係る実技教育(2時間)の受講が必要となります。
なお、特別教育を行ったときは、事業者において受講者、科目等の記録を作成し、3 年間保存する必要があります。
3.運転者が運転位置を離れるときの原動機停止義務等の適用除外
走行のための運転位置とテールゲートリフター等の操作位置が異なる貨物自動車を運転する場合において、テールゲートリフター等を操作し、又は操作しようとしている場合は、原動機の停止義務の適用が除外されます。なお、ブレーキを確実にかける等の貨物自動車の逸走防止措置については、引き続き義務付けられることにご留意ください。また、逸走防止の観点から、可能な範囲で原動機も停止するようにしてください。
荷役作業は、物流の流れにおいて非常に重要となる工程です。
重要な役割を担うため、さまざまな機械やシステム、安全対策の手法が誕生しています。
それらを遵守して、現場作業の効率化やリスク低減に努めましょう。
改正のあらましは他にも厚生労働省が発表しておりますので、ご参考ください。
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